平成29年度緑サポーター養成研修
樹木の保護事例について(現地研修)
平成29年9月18日(日)
1.智光寺のカヤ(笛吹市境川町藤垈322)
2.一宮浅間神社の夫婦ウメ(笛吹市一宮町一ノ宮1684)
講師:緑の相談所 樹木医 角田信夫先生
「智光寺のカヤ」の危険度軽減作業について
先ず枯枝処理、バランスを見ての整姿剪定、大枝抜き作業等
旧境川村役場の南800mほどの山裾に、曹洞宗松尾山智光寺がある。案内板によれば、智光寺は、天喜5年(1057)の創立と伝えられる古刹。本尊の虚空蔵菩薩(県指定文化財)については、これを行基作とし、武田氏の祖、新羅三郎義光が智光寺にもたらしたとする伝説があるようだ。この虚空蔵菩薩の胎内銘により、正しくは鎌倉時代の建長6年(1254)に造像されたことがわかつている。
大ケヤキは、石段の上方、鐘桜門に向かって左手に立っている。少し斜めに傾いているが単幹で姿の良い巨木である。樹勢も良さそうで、石段上部の石組を大きくめくり上がらせている。
しかし、何といっても、目をひかれるのは、その素晴らしい根張りであろう。幹の下部からカーブを描いて地表を覆っている根は、まるで浮き上がった太い血管のように見える。
その全周は、35mにも及んでいる。
果実もたくさん実り、案内板によれば、平年で5俵のカヤの実が収穫できるという。
境内の鐘桜に枝が被り、風が吹くたびに屋根と擦れてしまい、鐘桜の倒壊をも心配された、他多数の枯れ枝が絡み合い枝下の通行の危険性が感じられる。
根本全体にベニヤ板を敷き詰め、頂上部より枯れ枝を処理し、切り口に(古損部)墨汁塗布、生木部には抗菌癒合剤を塗って保護に努めた。
「一宮浅間神社の夫婦ウメ」の樹勢回復について
ここ3年に渡り「一宮浅間神社のメオトウメ」の樹勢回復に努力してきたが、まだ成果が現れてこず、あらゆる方向から作業計画をたて、樹勢回復に、笛吹市教育委員会.一宮浅間神社と共に、努力してきたどころです。
今年施した、トリコデルマ菌の吹き付けは、以前より、腐朽菌(カワラタケ)により、腐朽が進みすぎ朽ち果てそうな状況を、解決する目的で散布しました。
今回、散布さしてもらいました、トリコデルマ菌は、シイタケの原木栽培の現場で、偶然に発見された、ツチアオカビの中のトリコデルマを、100パーセント純粋培養した、「トリコエース」です。
腐朽菌(ベッコウタケ、カワラタケ)の増殖を抑え、腐朽の進み方をも抑制し、その間に不定根の発生を促し、樹勢を回復させる計画であります。
今秋、発根状態を確認し、来春2月頃の誘導作業を計画しているところです。
平年29年度緑サポーター養成研修「樹木の保護事例について(現地)」他、講座に会員7名が参加しました。思うところは異なるも、初心に戻り学ぶ、樹木医を目指して挑戦する等、会員が熱心に受講していました。
第2回学習会の報告
日時:平成29年6月30日(金)午後2時〜4時
場所:山梨県武田の杜サービスセンター研修室
内容:「神代ザクラの花を見るまでを語る」
講師:小林稔蔵先生
雲松園会長・日本樹木医会山梨県支部長
山高神代桜樹勢回復事業(平成14度〜平成17年度・4年間)
山高神代ザクラは、樹齢1800年とも2000年ともいわれるエドヒガンの古木で、大正11年にサクラとしては第1号の国指定天然記念物となった。同時に指定を受けた根尾谷薄墨桜、美春滝桜とともに、日本三大桜と呼ばれている。
天然記念物に指定された後、昭和10年頃までは、樹勢は比較的安定していたが、徐々に主要な枝が枯れ始め、昭和34年には台風により太枝が折れ、被害は甚大なものとなった。昭和59年には腐朽した主幹保護のため屋根つきの櫓が架けられたが、樹勢は著しく衰退していった。平成13年に文化庁、山梨県、武川村(当時)教育委員会、大学や試験場の研究者、樹木医などからなる樹勢回復調査検討委員会が組織され、調査が進められた。
その結果、天然記念物指定後に根元近くに石積みの囲いを設置し、盛土したことが分かった。昭和46年にはその外側に2度目の石積み囲いを設け、その中に盛土され、成育環境に大きな変化をもたらした。盛土は一時的には樹勢回復に効果があつたようだが、古い根への酸素供給が乏しくなり、地中深い所では枯れていった。さらに盛土した土層は、土壌生物相が単純化し、そこに伸びた根にはネコブセンチュウが蔓延、瀕死の状態を招いた。
樹勢回復工事の概要と結果
樹勢回復工事の概要と結果は2003(平成15年)から始めた。石積みで囲われていた根元周りを8分割し、毎年2箇所ずつ土を入れ替えていった。
根圈環境を改善することで、新たな発根を促しネコブセンチュウ病は、拮抗する土壌生物(主に有用な微生物)で抑制することとした。
工事は3年を経て樹勢回復の兆しが見られるようになった。新梢の伸長、不定芽の出現、早期落葉の改善、新たな発根などが見られる。発根は1年で1m以上になるものもあった。
しかし樹冠上部の枝の枯損、葉の矮小化など症状が改善されない部位もあり、予断を許さない状況は続いている。
今後は、樹床へ蘆の敷き詰め、施肥、病害虫防除と更に新梢の伸長に併せた支柱の補強作業などを行っていく。
質疑応答の後、NHkプロフェッショナル仕事の流儀樹木医のビデオを観賞しました。先生有り難う御座いました。熱心に受講された21名の皆様ご苦労様でした。 以上
森の樹育ての参加について
毎年園内のアカマツが松くい虫の被害でアカマツが枯れて減ってきています。そのため林帯を次代に残す取り組みとしてアカマツの苗木を移植する🎄森の子育てイベントを開催しています。
平成29年やまなし緑サポーター会第9回定期総会議事録
平成29年度総会及び学習会開催のお知らせ
開催日時:平成29年5月20日(土)午後1時〜4時30分
場 所 :山梨県立文学館・芸術の森公園
総会:午後3時20分〜4時30分 (文学館研修室)
議案審議 1)経過報告 2)前年度会計報告・監査報告
3)今年度事業計画(案) 4)今年度予算(案)
5)会則の改正 6)役員改選及び会員名簿・連絡網の更新
7)その他
学習会:午後1時〜3時 (芸術の森公園)
「樹木を観察して、その生育状況及び病害虫防除等の診断を行う」
講師:Npo法人東京樹木医プロジェクト 石井誠治先生
やまなし緑サポーター会の活性化のためには、会員の皆様が会の活動や運営に関心を持って戴く事が大切だと思います。
皆様のご支援ご協力をお願いします。
尚、当日の参加も歓迎します。ご参加下さい。