5月17日 学習会「希少植物の現状と保護について」

第15回総会に続き、学習会を開催しました。

  時間:PM,3:00~4:30

  演題:希少植物の現状と保護について

  講師:村山 力 氏(山梨県立武田の杜保健休養林 所長)

 

 <講演要旨>

自己紹介から始めます、県のみどり自然課で自然、環境保護の仕事を長年勤めていました。今は武田の杜の所長を既に5年、植物研究会の理事、今はユネスコエコパークで人間と自然の共存を考える

BAM(Man and Biosphere)の推進委員を行っています。仕事はユネスコエコパークに登録した地域への支援になります。ユネスコエコパークは国内に10カ所で武田の杜は甲武信ユネスコエコパークの案内所に指定されている。

山梨県世界遺産の富士山、ユネスコエコパーク南アルプス、甲武信の2カ所で

世界でも希な誇れる地域、また富士山の3000mから南部の80mまで標高差の大きい地域でそれだけ植生が豊富。

■絶滅種は2018年に更新され山梨県レッドデータブックにランク分けした。山梨県は約17%が絶滅種となっている。1970年代後半から絶滅のスピードは加速し続けており、現在は1年間で4万種、つまり毎日100種類以上の生物が絶滅しています。

生物多様性には「生態系、種、遺伝子」があり、更に4つの恵み(生態系サービス)「基板、供給、調整、文化的のサービス」がある。

生物多様性は4つの危機に直面している「第1の危機:人間の活動や開発、第2の危機:自然に対する働きかけの縮小、第3の危機:人間により持込まれたもの、第4の危機:地球環境の変化」がある。

■第1の危機:護岸工事で被害が及び連絡をもらい私が話しをして工事を待ってもらい、移植して守った。移植できないような貴重な種は冷凍保存した事もあり。

■貴重種は盗掘などがあり公園などのエリア内は規制があるが、山の中などは無人となりそれでも盗掘は無くならない。

山梨県は全国でも初めての保護条例を作った。24時間監視は出来ないので第一には規制、第二は譲渡禁止(仕入れ先、販売先を記録)、罰則を適用。でも山梨県では販売出来ないので他県で販売するため全国に法令を適用、第一の適用はキタダケソウで今は私の案でバットレスの下を立入り禁止とした。

■動物で鹿の場合は計画的に捕獲するが今は少なくなり猟友会の方も大変の様だ。最終的には鹿柵を設けている。柵の中で咲いているのは寂しいが櫛形山の場合は何年も掛かり復活させた。

■第3の危機の侵略的外来種があり処分方法も難しく、オオキンケイギクやアレチノウリなどがある。私が最近気に掛けているのが昇仙峡のキショウブ(菖蒲の葉によく似ていて黄色い花をつける大型の多年草)であの場所には違和感があり調査した結果、大きな群落があり広まったようだ。

■地上最強、最悪の「ナガエツルノゲイトウ」南米原産の多年草で、水辺や水田に入ると最悪の状態になり、早期発見、駆除が必要。

■希少動植物で櫛形山の鹿対策(鹿柵、草刈り)でアヤメ、クガイソウなどが復活した。コヒョウモンモドキは希少野生動植物種に指定(令和5年1月11日施行)され,全ての場所で採集が禁止。「あげる,売る,貸す/もらう,買う,借りる」有償,無償を問わず原則として禁止で,違反した場合は,個人では,5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金,法人では,罰金1億円となる。

■コヒョウモンモドキの食餌植物のクガイソウは甘利山で復活したが、植生は5、10年で復活するが動物は簡単に滅びる、甘利山は鹿柵が遅かったのかも知れない。

■ポールスミザーは八ヶ岳の自然の植生(オミナエシなど)を使い清里で庭を作っている、原風景を取り戻したいとの気持ちがあるようだ。私が甘利山から種を持って植えてもらった、自然では数年かかるが人間がはいると1年くらいで花が咲くようになる。土壌はそこの菌類との共生関係もあり難しい。

■復活しても草原の管理が難しい、幼虫は草に絡まり越冬しているため、なんでも草刈りするのでは無く考えながら行動しなくてはいけない。

■ネイチャーポジティブは生物多様性で自然生態系の損失を食い止め、回復させていく意味、世界の生物多様性は減少し続けており、1970年以来、約68%の生物多様性が失われています、更に30by30(サーティ・バイ・サーティ)ネイチャーポジティブの考え方を2030年までに自国の陸域・海域の少なくとも30%を保全・保護することの達成を目指す目標です。日本では陸で20%、海は10%が保全されている、山梨では10%の保護区域などを増やす活動が必要。しかし10%増やすことは大変なことで国立公園を増やす、また企業が持っている土地、都市公園に変えるを考えで進めている企業もある。

                              以 上